不服申立てについて

 障害年金を請求し、その結果に納得できない場合には

 以下のような、不服の申立てが出来ます。

 不服申立ては 審査請求・再審査請求と二審制になっているために

 審査請求をし、その結果にも納得出来ない場合には

 再審査請求を行なうということになります。

 

 但し、不服申立てというのは再審査であり、それによって

 最初の決定が変わるためには、よほどの根拠や資料が必要で

 不服申立てを行なえば、決定が変わるかも?という安易な考えで

 不服申立てを行なっても、その決定はまず変わりませんので

 その点をよく理解しておく必要があります。


 また、それらの前提となるのは決定がなされた理由を把握する

 必要がありますが、なかなか一般の方がその点を把握する事は

 難しいのではないか?と私は思っています。

 

 そもそも不服申立てをして最初の決定が変わるという事は

 最初の決定が間違いだった事を行政側が認める事なので

 多くの方が思われる程、そう甘くはありません。

 

 そのため、難しいケースになる程、最初の請求時に提出する

 書類等や請求法が重要になるわけです。

不服の申立てのおおまかな流れ

 不服申立ての全体的な流れについては、以下の通りです。


  1 障害年金の請求  

  2 決定(支給決定・不支給決定・却下) 

  3 不服申立て

  4 審査請求  (社会保険審査官) 

  5 社会保険審査官の裁決       

  6 5の採決に不服

  7 再審査請求 (社会保険審査会)

  8 公開審理  (厚生労働省内・社会保険審査会)

  9 社会保険審査会の裁決       

  10  9の採決に不服

  11  裁判所への提訴 (国を相手に裁判)

 障害年金を請求後に、その決定(不支給決定や等級について)に

 納得出来ない場合には、審査請求が出来ます。これは裁判で言う

 上告のようなものだとイメージ下さい。

 

 審査請求は、決定通知書でその処分を知った日の翌日から、

 2ヶ月以内であれば出来ます。これは決定通知書の謄本が

 送付された日の翌日から起算されるということです。

 

 もし、郵便事故等で通知書が届かずに審査請求が遅れた場合

 疎明書にてその旨を審査請求時に審査員に伝えます。

 疎明書とは簡単に言えば、請求が遅れた理由書です。

 

 障害年金の請求に対する決定自体は日本年金機構が行ないますが

 その決定に対する障害年金の請求者の異議申立てに対する審査は

 地方厚生局に所属する社会保険審査官が行ないます。

 この審査請求からは、その請求に対する判断・決定が

 日本年金機構から厚生労働省に移り、再審査が行なわれます。

 

 審査請求は文書または口頭で行なうことが出来ますが

 通常は所定様式の書面で行ないます。その際に使用する書類は

 年金事務所等にも置いてあります。

 

 審査請求時に初回請求時に提出しなかった審査上有利になる

 資料(画像データ、その他)を提出することも出来ますので

 不服申立書に不服の根拠と資料を提出します。

 この追加資料の提出自体は、上記期限を超えての提出も可能なので

 期限までに時間がない場合、審査請求書だけでも先に提出します。

 

 審査請求の決定は、通常3ヶ月以上かかります。

 更に審査請求の決定に対し、納得いかない場合には・・・

 

 再審査請求を社会保険審査官から決定書が送られた日の

 翌日から2ヶ月以内に、厚生労働省内にある

 社会保険審査会調整室に書面で請求出来ます。

(再審査請求は直接、書類を郵送します。)

 

 再審査請求時に使用する書類は、年金事務所に置いてあります。

 

 再審査請求の場合には、要件審理というものがあり

 要件を満たしていない場合、事実上の審査は行なわれません。

 

 また、再審査請求は社会保険全般を対象とし

 全国からのものを処理するために最終的な決定には

 かなりの時間を要します。

 

 審査請求と再審査請求との大きな違いは、次の通りです。

  1 前者は社会保険審査官が一人で審査・決定する。

    後者は社会保険審査会という合議制で審査・決定する。

  2 後者の場合、時間的には短いものの請求者自ら

    審査会に立ち会い、自身の主張を述べることができる。

    ※ 審査会は、厚生労働省内で行われます。

不服申立ての際に・・・

 不服申立て(審査請求・再審査請求)の際に、既に提出した

 診断書の修正・変更等は、カルテ上に根拠が記載されてあったり

 変更根拠が医師により明らかにされているような場合のみです。


 そのため、最初に障害年金を請求する際の診断書やその他の資料が

 とても重要になってきます。安易に請求し、簡単に不服申立てをし

 それによって決定が簡単には変わらない事は理解しておくべきです。

国を相手に裁判

 社会保険審査会の決定が出て、その裁決を知った日から6ヶ月以内に

 行政(国)を相手に裁判を行なうことが出来ますが、

 裁判は長期化し、費用もかかるために、裁判を行なうか否かは

 勝訴の可能性を考慮し、慎重に行なう必要があります。